会長の時間
〈真実かどうか〉について
御存知の方も多いと思いますが、1966年一家4人を殺害放火した事件、俗に言う「袴田事件」です。(事件の話ではなく事件に関わった裁判官の話です)
静岡で起きた事件ですが、九州とも縁があり、1968年確定一審判決を出した静岡地裁の裁判官だった、熊本典道(のりみち)さんは佐賀県出身で九大を卒業した人です。……自分は無罪の心証をもちながら、他の3人の裁判官による合議に敗れ、死刑判決文を書き、自らの責任を取り翌年に退官されました。辞めてからも、後悔の連続で、何度も自殺を考えたが死にきれなかったそうです。
それからが……この人の執念です。公(おおやけ)の場で、過去の裁判に対し無罪の心証があった事を世間に明かし、記者達から合議の秘密を明かすのは問題ではないか?と言われても、それは覚悟の上と言って一歩も退かなかったそうです。
その後、50年過ぎて袴田さんと再会し、当時脳梗塞の後遺症で言葉が出にくい熊本さんは……袴田さんの事を……いわお~(巌)と名前を呼び“悪かった~”と嗚咽(おえつ)交じりに3回くり返したそうです。最後の最後まで、自分の意志を貫き通し、2020年にこの世を去られました。然し乍ら昨年の7月再審が決定し、10月27日に初公判が始まりました。袴田さん87歳、残りわずかな人生を、又戦わなければなりません!
◎ 因みに裁判官の黒い服は「法服」と言われ、“どんな色にも染まらない”“どんな意見にも左右されない”という意味が込められているそうです……が、それにしても事件から57年未だに結論が出ないとは……何か矛盾を感じざるを得ません。もし無罪判決が出たら、この57年間袴田さんの人生は何だったのでしょうか。
◎ 人が人を裁くとはこんなに酷なものかを考えさせられました。
今日はこの事件に対し生涯を捧げ、自分の仕事に対しての責任感を貫き通す……熊本さんの生きざまを私達ロータリアンも少しでも学べればと思い紹介致しました。
ゲスト ゴルフツアーキャディー 古賀 雄二様
卓話
ゴルフツアーキャディー 古賀 雄二 様