4月14日例会


会員卓話

会員 片山 量海 君

 

 卓話の話をいただいた時、石本さんからコロナ禍に関してのお葬式事情かお通夜事情とかありませんかとの事でしたが、お葬式とかお通夜がコロナ禍によっていろいろと変わったという印象はありますが、それはその土地その土地だったり、その方その方だったりというのがありますので一様に変わりましたという様な事ではないので、それならばもともと葬儀に関してまでの流れの中で、これは時代でどんどん変わってますが、もともとどういう風に始まっていったのか、という所を話をさせていただければと思います。

 

 まず、身内の方が亡くなられまして頭の中に枕経という言葉が浮かぶと思います。枕経というのは全国的に使われる言葉ではあるんですが、もともとは当時の幕府や藩の戸籍制度に由来して始まったものです。というのは戸籍というのが整備されて、そしてそれと同時に整備されていったのが当時でいう年貢というものでした。年貢というのは、生まれてすぐかけられるものではないですが男の子なら何歳から、女の子なら何歳から又家で持っている田畑の面積によって収穫高が割り出されて、それによって決められていくというものであります。また年齢が上がっていくとまた少し上がっていき、年貢については収穫に応じてではなく亡くなるまで年貢はかけられていったという経緯がありました。という中でもう働く事が出来なくなったという老年の方々が現れた際に、例えばここ永昌東で60歳のおじいさんが亡くなりました。としたらそれを代官所に届けるわけです。そして代官所から確認に来るわけです。そしたら今度、例えば長野町の親戚から、ちょっとごめんけどそのご遺体を貸してくれないかとなるんです。そしてそのご遺体を長野町に運んでそして長野町の方でも代官所へ届けます。うちのおじいちゃんが亡くなりましたと。そうすると、その家にも60歳くらいのおじいちゃんがもともとおられてたなら、その方と思われるご遺体がそこに横たわっているという事で、その方の戸籍も消えるわけです。1人が亡くなった際に2人ないし3人の戸籍が消えていくという事があったそうです。当時はそれが背に腹は代えられぬといった事情、困窮状態というのがあったという事が時代背景にあったという事ですが、そういう中で亡くなっていない方が亡くなった事によって年貢を納めなくなっていくという事が横行という事が正しいかわかりませんが増えていったという経緯がありました。そういう事で藩は今後、戸籍の管理をお寺の住職に託しました。お寺の住職が亡くなられた方の確認に行って代官所や藩に届け出るという役目を担う様になりました。その時に、住職はそのまま帰るわけにもいかず、お経を読んで帰ったという事が始まりとなって、いつの間にか枕経という言葉と共に継続していったという事でございます。実際に、宗教的意味があって行われていたというよりは、その藩そして戸籍と年貢というものの制度を保つために枕経が始まったという事でございます。

 

 私がひとつだけ紹介させていただきたいのは、私の宗派は浄土真宗です。浄土真宗では枕経という言葉は正式には使いません。どういう言葉を使うかと言いますと、臨終勤行(りんじゅうごんぎょう)という言葉を使います。臨終勤行とは臨終という事ですから終わりに臨むという事です。まだ終わっていない、つまりまだ亡くなられていない際に行われる勤行、お勤めという事ですね。これが臨終勤行という事になります。

 

 お通夜というのは、字を書けばそのままで夜通しと書きますが、何かと申しますと夜通し最後の看病をするという事であります。最後の夜と言い方をされる方もいらっしゃいますけど、実際は最後の看病という事でありまして、看取りですね。看取りという事はお通夜の時にもまだ息があると見立てて過ごされる本来夜でございます。

 

(中略)

 

 お葬式というものの意義というものは、その宗教によって異なりますが、一般の者としてお参りさせていただくという事に関しては、お見送りという事が第一になると思います。またお葬式の際にご香典というものを包まれると思いますが、それは昔ながらのなごりでございまして、それは昔、お葬式がある際にはお香が必要でした。そのお香というのは高価なものというより貴重なもの、希少なもの、あまり手に入らないものでした。ですのでそれをそれぞれが少しずつ持ち寄って、ひとつの葬儀を成立させていくということで皆さんがお香を持ち寄りました。それが今は葬儀を行う身内の方々が用意できますので、ですからそれを用意する資金として金銭的な面としてお手伝いさせていただきますという事で、のし袋に香典と書いてあるという事です。その様にして、葬儀に関しましては、一般会葬という形で行くのであれば、お手伝いをさせていただくということで、お供え物を持ち寄り、そして最後のお見送りに立ち会わせていただくという様な事になります。